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鵜川真由子 写真展 【WONDERLAUND】


・2021年11月5日(金)〜25日(木)

 10:00〜18:00


・VISUAL ARTS GALLERY

 大阪市北区曽根崎新地2-5-23

ビジュアルアーツ専門学校 大阪

(06)6341−4407




初めてNY へ行ったのは10 代最後の夏。 友達と2人で母の友人が住むボストンへ遊びに行き、そこからアムトラックで約4時間かけてマンハッタンへ。 たった2日間の滞在だった。 無知であることさえ知らず、常に新しい『何か』を求めていた年頃。だけど正直なところ、街の印象はあまり深くは残っていない。 道はタバコの吸い殻だらけだし、ホテルはボロくて部屋は傾いてるし(そのわりに高いし)やたら話しかけられるし、何だかみんなテキトーだな…くらいの感じだった。 一つだけ、美術館で、ある絵画を見た時に全身鳥肌が立つという体験をしたことだけが強烈に心に残っている。 どうしてなのかは全くわからないが、そんなことは後にも先にもこの一度だけだった。 描いた人はもうこの世にはいないけれど作品だけがずっと残っていて、人の心を動かし続けている。 単純に、純粋に、素敵なことだと思えた。 当時の私はやさぐれていて、色んなことに投げやりになっていたからそんな気持ちになったのは意外だった。 何というか、少し救われたような気がしたのだ。

そんな体験をしたことで、NY は私の特別な場所になった。

写真をやっていくと決めてから、悩んだり迷ったりするたびにその時のことを思い出す。 もちろん偉大な作家の足元にもおよばないけれど、自分の生きる小さな世界の中で私の写真を見て楽しんでもらえるよう、もうちょっとだけ頑張ろうと思いながらやってこられた。いつかNY を撮りたいという思いを抱いていたのは自然の流れだろう。 そして2015年、企画展の撮影のために再びNY を訪れることになる。撮影の合間にスナップを撮り始めるとすぐに街の魅力にとりつかれてしまった。 それと同時に若い頃の自分は何も見えていなかったな、と改めて気づかされたのだった。 この街の魅力は多くの作品が語っているし、国内外の色んな地域から人が移り住み、皆に愛されていると感じる。 私はNY には住んだことはないし、この先も住むことはないと思うけれど、人生の色んな場面において気づきを与えてくれる大切な場所になっている。 そんな街の愛おしさを、てくてくと歩きながら拾い集めていた。




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